読みきかせだより(年中・年長) 10
2020年9月16日
(9/9、10、11活動記録より)
9月に入っても35度前後の気温が続いた今年、海を舞台にした涼やかな絵本がまだまだ似合いました。
「スイミー」は、小学校で習ったおはなしの中でも特に印象深いという方が多いかもしれません。私もそのひとりです。レオ=レオニの美しく芸術的な絵、谷川俊太郎さんの無駄のない日本語訳、ずっと忘れないで心にあります。
子どもたちとは絵の美しさが際立つ大型絵本で楽しむことにしました。その前に、改めて読み込んでみると、私自身の感じ方が、今年はこれまでと少し違うことに気づきました。
スイミーが、悲しみの中、縮こまるのではなく、自分の目で広く海を観察し、いろいろなものと出会い、考え、未知なる新しい世界へと向かっていく。「いつまでもそこにじっとしてるわけにはいかないよ。なんとか考えなくちゃ!」と、赤い魚たちに呼びかける。そんな姿が、コロナ禍の今、響くのです。もちろん子どもたちにそんな私の気持ちを伝えたわけではありませんが、真剣に、シーンとした中でおはなしに浸っているみんなの様子を見て、何か無意識にも感じるところはあったかもしれないと思いました。
何年か後の国語の時間、「スイミー」に再会した時、みんなは何を思うのでしょうか。
読みきかせ教室 年中・年長担当
二宮美奈